Japanese Medical Care > お知らせ > Uncategorized > WEBセミナーQ&A Vol.1

WEBセミナー Q&A

Q1: 発熱と咳だけでなく、かなりの疲労感だけで始まり・終わった感染者もいるようですが、どのくらいの割合か?

A: 具体的な割合はわかりません。中国の武漢での感染者で80%が軽度から中等度(mild to moderate)の症状であったと報告があります。最近はウィルスを保有していても軽症や無症状の方がいると報告があります。

参考:中国で行われた44,000人以上の症例分析

軽度から中程度(軽度の症状から軽度の肺炎まで):81%

重度(呼吸困難、低酸素症、または画像診断での肺病変> 50%):14%

クリティカル(呼吸不全、ショック、または多臓器系機能障害):5%

4月13日のThe New England Journal of Medicineの記事で、最初無症状だった産婦さん二人が出産後、陽性と発覚したニューヨーク市内の病院にて、出産目的で入院しきた産婦さん全員に新型コロナの検査を行った結果を報告しております(3月22日から4月4日の間、215名)。そのうちの4名が入院時に発熱や他のコロナ感染を疑う症状があり、他の211名は熱もなく無症状。その無症状の患者さん210名が鼻からのPCR検査を受け、29名が陽性に出たと報告がありました。

4月16日の日本での無症状病原保有者数は608名で、全体8582名中7%を占めます。症状には個人差があるように思います。

また、サイエンス紙に掲載されたある調査では確認されていない新型コロナウイルス感染患者の推測値を算出し、感染拡大の多くはこの確認されていない感染者によるものだと論じました。

参考文献

Wu Z, McGoogan JM. Characteristics of and Important Lessons From the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Outbreak in China: Summary of a Report of 72314 Cases From the Chinese Center for Disease Control and Prevention. JAMA, February 24, 2020, https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2762130

Desmond Sutton, M.D., Karin Fuchs, M.D., M.H.A., Mary D’Alton, M.D., Dena Goffman, M.D., Columbia University Irving Medical Center, New York, NY, “, Universal Screening for SARS-CoV-2 in Women Admitted for Delivery”, NEJM, April 13,  2020, https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2009316

新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について, 厚生労働省, 2020年4月16日, https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10887.html

Substantial undocumented infection facilitates the rapid dissemination of novel coronavirus (SARS-CoV2), , Science  16 Mar 2020, https://science.sciencemag.org/content/early/2020/03/24/science.abb3221

 

Q2 消毒は、70%アルコールしか有効ではないですか。クロロックスワイプでも大丈夫ですか。また、どちらもなかなか手に入らないので困っています。

A:表面が固く、穴が開いていない箇所を拭いた場合でしたら、クロロックスワイプでも大丈夫です。Colorox社が新型コロナウイルスに対応する消毒剤に対応する製品リストを掲載しておりますので、参考にしてみてください。

Colorox Website: コロナウイルス情報ページ

https://www.clorox.com/resources/coronavirus/

Colorox Website:EPA(米国環境保護庁)登録新型コロナウイルス対応消毒剤

https://www.clorox.com/resources/coronavirus/products/

 

米国EPA登録新型コロナウイルス対応消毒剤リスト

その他新型コロナに対応する有効な消毒剤としてColorox, Scrubbing Bubbles, Lysonl Brand Surface Cleanerなどの商品がEPAに登録されています。 以下EPA, 米国環境保護庁に新型コロナウイルスに対応する消毒剤として登録されている製品のリストです。

United States Environment Protection Agency: Disinfectants for use against SARS-Cov-2

https://www.epa.gov/pesticide-registration/list-n-disinfectants-use-against-sars-cov-2

 

日本における新型コロナの消毒方法について

日本では、4月15日に日本の経済産業省から要請を受けた製品評価技術基盤機構(NITE)より、台所用洗剤の成分から新型コロナウィルス消毒の可能性があると発表されました。また、厚生労働省・経済産業省より以下の

  • 加熱(80℃の熱水に10分間さらす)
  • 塩素系漂白剤の主成分である次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochlorite、これはクロロックスの成分、濃度05%に薄めた上で拭くと消毒可)
  • 花王(キッチンハイター、ハイター)
  • カネヨ石鹸(カネヨブリーチ、カネヨキッチンブリーチ)
  • ミツエイ(ブリーチ、キッチンブリーチ)
  • 濃度70~80%のアルコール消毒液、又は消毒液以外の高濃度エタノール製品

参考文献:

新型コロナウイルス感染症の発生に伴う高濃度エタノール製品の使用について(改定), 厚生労働省医政局経済課, 2020年4月10日, http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20200410_01.pdf

新型コロナウイルス対策身のまわりを清潔にしましょう。厚生労働省, 経済産業省, 2020年4月7日

 

Q3. お店で購入した食品にはウイルスは付着していますか?又、どうしたら除菌できますか?

新型コロナウイルスは一般的に、人から人へ呼吸器の飛沫(咳やくしゃみをする際にでる細かい粒となった水)によって感染致します。CDCによると、3月23日現在、新型コロナウイルスが食品を介して感染するという証拠はありません。食事を食べる前には、石鹸と水で20秒間洗うこと、鼻をかんだり、咳やくしゃみをしたり、トイレに行った後は手を洗いましょう。

また、コロナウイルスが付着する物の表面に触れ、自分の口、鼻、目に触れることによって、新型コロナウイルスに感染する可能性はありますが、一般的にコロナウイルスは物の表面における生存性が低いため、主な経路とは考えられていません。

一般的な食品安全の感染対策

他のウイルスと同様に新型コロナウイルスが表面や物体上で生き残る可能があります。食品の安全性の4つの主要なステップである清潔、分離、調理、および冷却に従うことが重要です。

食品安全4ステップ

洗浄:調理器具、野菜などの表面をよく洗う、食事前に手を洗う等

分離:二次汚染を防ぐ。生野菜と肉類のまな板を分ける、肉類、魚類などはビニル袋に入れる等

調理:適切な温度に調理

冷凍:適切な冷蔵・冷凍温度、冷蔵庫内で解凍を行うなど

コロナウイルスの生存期間

米国国立アレルギー・感染症研究所の研究者らの実験結果によると、最大72時間物体の表面にとどまることが示されています。プラスチックおよびステンレス鋼の表面では2〜3日間新型コロナウイルスが活性。また、厚紙では最大24時間、銅では最大4時間ウイルスが残存しました。ウイルスはエアロゾル(空気中の細かい粒子)でも最大3時間検出可能でした。

感染の可能性がある72時間前にその食品を使用する必要があれば、十分な洗浄を行う必要があります。また密封された容器の中身は汚染されていません。

参考文献:

Food Safety and Coronavirus Disease 2019 (COVID-19),  Centers for Disease Control and Prevention (CDC), March 23, 2020

https://www.cdc.gov/foodsafety/newsletter/food-safety-and-Coronavirus.html

Food Safety and COVID-19, JAMA, April 9, 2020

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2764560

Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Frequently Asked Questions, Food and Drug Administration (FDA)

https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/coronavirus-disease-2019-covid-19/coronavirus-disease-2019-covid-19-frequently-asked-questions#food

4 Steps to Food Safety, U.S. Department of Health & Human Services

https://www.foodsafety.gov/keep-food-safe/4-steps-to-food-safety

Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1, April 16, 2020, NEJM

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2004973

7 Tips for Cleaning Fruits, Vegetables, Food and Drug Administration (FDA) , June 10, 2018,

https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/7-tips-cleaning-fruits-vegetables

Coronavirus Resource Center, Harvard Health Publishing , Updated: April 17, 2020, https://www.health.harvard.edu/diseases-and-conditions/coronavirus-resource-center

 

Q3 外出時に着ていた服などは、帰宅後に着替えた方が良いですか?

A:どういう場所へ外出されたか、外出中は他人とは6フィート(2メートル)以上離れていたのかなどの状況によりますが、帰宅後すぐ着替え、衣類を洗濯できれば帰宅後着替えましょう。

固く通気性のないプラスティックやステンレスの表面に、新型コロナウィルスは最長で72時間にも見つけられたと報告があります。この研究では布や服の表面は調査をしていませんが、他のインフルエンザA型やB型での研究(1992年)では、通気性のあるハンカチ、チリ紙、パジャマや雑誌の表面に付着したインフルエンザウィルスは8-12時間後には検知できなかったそうです。新型コロナウィルスについてはまだ明確な研究がありません。

 

新型コロナウイルスに対する洗濯用消毒剤としてLysol® Laundry SanitizerなどがEPAに登録されていますのでこちらのリストを参考にしてください。

新型コロナ感染者の洗濯物の洗い方

  • CDCに新型コロナ感染者の洗濯物の洗い方について詳細が記載されております。以下概要です。
  • 汚れた洗濯物を扱う際手袋を使用しなかった場合は必ず手を洗ってください。
  • 汚れた洗濯物は振らないでください。
  • メーカーの指示に従い洗濯物を洗濯します。可能であれば、洗濯物に適した最も暖かい水の設定を行い、洗濯物を完全に乾燥させて下さい。
  • 新型コロナ感染者の洗濯物とその他の方の洗濯物は一緒に洗濯可能です。
  • 可能であれば、使い捨て可能な洗濯袋をご用意ください。

参考文献

Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1, April 16, 2020, NEJM

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2004973

United States Environment Protection Agency: Disinfectants for use against SARS-Cov-2

https://www.epa.gov/pesticide-registration/list-n-disinfectants-use-against-sars-cov-2

Cleaning and Disinfection for Households, Centers for Disease Control and Prevention (CDC), updated March 28, 2020

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/cleaning-disinfection.html

Q4 どれだけの時間がたてば治ったと判断されるのでしょうか?

A:CDCによると、①解熱剤を使用せずに平熱が3日以上続いた、②呼吸症状の改善した、③・症状が出始めてから最低7日以上経過している場合、自己隔離を終了できるとのことです。

COVID-19に感染、又は感染の疑いが高い方(熱、咳、呼吸困難などの症状がある方)が自己隔離を止める目安として上記確認しましょう。

※注意:上記は新型コロナウイルスの検査を積極的に行えない現在の状況を踏まえたガイドラインです。検査がより積極的に行える場合は最終的に検査を行い治療の判定を行います。

また、自己隔離を終えた後も注意が必要です。隔離を中止した3日間は接触を制限してソーシャルディスタンスを保ち、公共の場に出る際には必ず鼻や口を覆うカバーを着用する必要があります(必ずしも医療用マスクである必要がありません)。

参考文献

Discontinuation of Isolation for Persons with COVID-19 Not in Healthcare Settings (Interim Guidance), , Centers for Disease Control and Prevention (CDC), April 10, 2020 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/disposition-in-home-patients.html

 

Q5、感染するとどのような症状がでるのか

A:熱、咳、息切れまたは呼吸困難、寒気、震え、筋肉痛、頭痛、喉の痛み、味や匂いの喪失などで、感染から2〜14日後に発症します。

軽度の症状から重度の病気まで、さまざまな症状が報告されています。症状は、ウイルスにさらされてから2〜14日後に現れることがあります。

NY市の保険当局は現在は症状が軽い方に新型コロナウイルスの検査を行うことを推奨しておりませんが、以下の状況や重度、危険な状況下にある場合は911や医師にすぐにご相談下さい。また、救急車が来る前に必ずマスク等で口や鼻を覆ってください。

呼吸困難、胸の持続的な痛みや圧力、昏迷又は覚醒不可能、青みがかった唇または顔色

医師に相談すべきか判断するためのツールがCDCより公開されております。以下ご確認下さい。

Self-Checker Tool by CDC

参考文献

Symptoms of Coronavirus , Centers for Disease Control and Prevention (CDC), April 10, 2020 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/disposition-in-home-patients.html

 

Q6,軽症で自宅待機といわれたらその過ごし方、家族との距離、世の中への告知義務はどのあたりまで必要か。

A:自分自身が感染した場合、家族が完全した場合で家庭内の対応方法が異なります。また、告知に関しては患者様個人の義務は確認できておりませんが、医療機関、雇用者として対応することがあります。米国CDCでは以下のように定めております。

自分自身が感染した場合、または感染が疑われる場合

自己隔離中の注意事項は以下の通りです。

  • 治療目的以外は自宅に待機。
  • 人やペットから隔離
  • 体温を測るなど常に状況を監視
  • 医療機関受診前に必ず電話
  • 布製のマスクを着用
  • 咳エチケット
  • 頻繁に手を洗う
  • 食器を共有しない
  • よく触る箇所を消毒する

家族が感染・感染が疑われる場合

  • 医師の指示に従い治療や薬の服用。通常1週間程で症状改善。
  • アセトアミノフェン(Tylenolなどの解熱剤)など、処方なしで購入可能な薬で症状が改善するか様子を見る。
  • 感染者はゆっくり休み、水分補給をしっかりと行う。
  • 日用品、処方箋の購入を手伝い、可能な限り感染者が外出しないようにしましょう。
  • 感染者とペットの接触を制限
  • 医師の電話番号を手元に用意
  • CDCのセルフチェッカーで医師や救急に相談すべきか確認
  • 症状が悪化し続ける場合は医師に相談。

以下の場合はすぐに救急連絡911に連絡してください。

呼吸困難、胸の持続的な痛みや圧力、昏迷又は覚醒不可能、青みがかった唇または顔色

家庭内での感染を防ぐために

  • 接触を避けましょう。寝室や浴室を分け、共有スペースは空気の流れをよくする。
  • 別の部屋や場所で食事をしましょう。手袋をして食器を洗う。
  • 物の共有:食器やコップ、タオル、寝具、電子機器などを共有しないようにする。
  • フェイスカバーと手袋:感染者は他人と接触する際必ずフェイスカバーをしましょう。感染者以外も感染者と接触する際は同様です。(医療用マスクである必要はありません)。2歳未満はフェイスカバーをしてはいけません。感染者の体液に触れる場合は手袋を着用下さい。
  • 頻繁に手を洗う。
  • 家庭内、寝室、浴室、トイレを消毒する
  • 感染者の洗濯物を扱う際は手袋をし、完全に乾燥させる。
  • ごみを出す際には使い捨ての手袋を付け、裏地付きのごみ箱を使用。
  • 感染者以外のご家族の発熱などの健康状態も常に確認。

 日本の厚労省の指針

また、日本では、厚生労働省が「ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合家庭内でご注意いただきたいことー8つのポイントー」としてまとめております。

  • 部屋を分ける
  • 食事や寝る時も別室にしましょう。本人は極力部屋から出ないようにしましょう。
  • 感染者の接触を制限
  • 持病のある方、免疫が低下した方、妊婦などへの接触は避けましょう。
  • マスクを付けましょう
  • 但し米国では医療資源の不足により、布マスクなどによるカバーを推奨しています。)
  • こまめに手を洗いましょう
  • 換気をしましょう
  • 手で触れる共有部分を消毒しましょう
  • 汚れたリネン、衣服を洗濯しましょう
  • ゴミは密閉して捨てましょう

告知義務について

雇用者

OSHA(米国労働安全衛生局)は2020年4月10日に出したガイダンスにより、以下の場合、雇用主は新型コロナウイルス感染に関する記録を取るよう求めております。

  • CDCによって定義された新型コロナウイルスの症例が確定した場合
  • 連邦規則集, 29 CFR § 1904.5に定義される 仕事に関連する事象となる場合
  • 連邦規則集, 29 CFR § 1904.7に定義される一般的な記録の基準に含まれる場合

詳しくはOSHA webサイトをご覧下さい。

医療機関

医療機関は新型コロナウイルスなど公衆衛生上影響がある感染症の疑いがあれば、地元保健局に報告する必要があります。例えば弊院のマンハッタン本院はNew York市保健部門に報告する必要がございます。

その他

各州などで規制が異なる可能性はありますが、その他法的に報告が必要な条件は確認できておりません。ただし、感染拡大を防ぐため、接触する可能性の高い家族や友人などに伝えることをお勧め致します。

参考文献

Caring for Someone Sick at Home , Centers for Disease Control and Prevention (CDC), April 14, 2020 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/if-you-are-sick/care-for-someone.html

What to Do If You Are Sick , Centers for Disease Control and Prevention (CDC), April 14, 2020 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/if-you-are-sick/steps-when-sick.html

家庭内でご注意いただきたいことー8つのポイントー, 厚生労働省, 2020年3月1日

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf

Enforcement Guidance for Recording Cases of Coronavirus Disease 2019 (COVID-19), United States Department of Labor Occupational Safety & Health Administration, April 10, 2020

https://www.osha.gov/memos/2020-04-10/enforcement-guidance-recording-cases-coronavirus-disease-2019-covid-19

Provider Reporting: How to Report Diseases, Events, and Conditions to the New York City

Health Department, New York City Department of Health and Mental Hygiene, 2015

https://www1.nyc.gov/assets/doh/downloads/pdf/hcp/reporting-guide.pdf

 

Q7,終息時期はいつでしょうか?

A: 4月16日、ニューヨーク州知事が5月15日まで現在のニューヨーク州ロックダウンを延長することを決定。ただし、5月15日後に解除するかどうかはデータの改善状況次第でまだわからないと発言しています。

3月1日にニューヨーク州最初の陽性者が1名出たとの報告から1か月と15日後には感染者数213,779名や死亡者11,586名と急増しました。今日から1か月後がどうなるか予想することは困難です。

ただし統計学などを元にいくつかの予想が出ています。University of Washington, Institute for Health Metrics and Evaluationの予測によると、十分な検査数、接触制限、隔離、集会が制限された場合、6月1日にはロックダウンが一部緩和される可能性があると示唆しておりますが、日々数値に変化があり、予断を許さない状況です。

参考文献

Governor Cuomo Announces ‘NYS on PAUSE’ Extended until May 15, New York state Governor’s Press Office, May 15, 2020

https://www.governor.ny.gov/news/video-audio-photos-rush-transcript-amid-ongoing-covid-19-pandemic-governor-cuomo-announces-ny-1

Forecasting COVID-19 impact on hospital bed-days, ICU-days, ventilator-days and deaths by US state in the next 4 months, IHME COVID-19 health service utilization forecasting team, checked April 20, 2020

https://covid19.healthdata.org/united-states-of-america/new-york

 

Q8,マスクをしたがらない人や、「自分は大丈夫」と通常通りの行動をする「困った人」「言うことを聞かない迷惑な人」が家庭内もしくは身近にいた場合、どのように対処すべきでしょうか。

A:4月15日にニューヨーク州のクオモ知事から公共の場でのマスク着用を義務付ける法令が出ました。状況によってはより厳格な規則となる可能性があります。

3月1日にニューヨーク州最初の陽性者が1名出たとの報告から、この1か月と15日後には感染者数213,779名や死亡者11,586名となりました。この状況を理解して、プロアクティブに行動される(ご自身と周りの方々を守る)ことを心から願います。

また、 現在医療資源の不足が継続的に発生しております。医療用マスク(サージカルマスク、N95含む)、ガウン、医療用ゴーグル、検査に利用する綿棒などの医療用品などです。以前は資源配分の観点や証拠が不足していることもあり、マスクの着用は不要と米政府や州政府が発表しておりましたが、4月に入り、CDCはソーシャルディスタンス(6 feets, 約2m以上離れること)を取ることが難しい場所や感染が著しい場所では、布製のカバーを着用するよう呼びかけました。推奨される布の表面カバーは、サージカルマスクやN-95マスクではありません。最前線で治療にあたる医療従事者向けに確保する必要があるためです。

CDCのサイトに布製カバーの作成方法の記載がございますので参考までにご覧ください。

Use of Cloth Face Coverings to Help Slow the Spread of COVID-19,Centers for Disease Control and Prevention (CDC), Updated April 13. 2020

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/diy-cloth-face-coverings.html

 

Q9. 5Gとの関連性についてお聞きしたいです。発祥した武漢 ひどく広まった韓国 北海道 イタリア ニューヨークシティには全てすでに5Gが導入されていて 人体への悪影響(肺に酸素が行かなくなる) があるそうですが…どうお考えでしょう?

A:ウイルスは電波/モバイルネットワーク上を移動できません。 SNSなどに拡散された誤った情報に注意しましょう。

COVID-19は、5Gモバイルネットワークを持たない多くの国で普及しています。COVID-19は、感染した人が咳、くしゃみ、または話すと、呼吸器の飛沫を介して拡散します。この話題の発端は、TwitterやYoutubeなどSNS(ソーシャルネットワークサービス)上で著名人が5Gとコロナウイルスの関連について投稿し、拡散したことが要因です。これは明らかなデマであり、YouTubeはこのような誤報(harmful misinformation)の拡散を防止する声明を出しました。

現在のような情報社会では正しい情報ソースを選別することが非常に重要となっています。米国CDC, FDA, 各州政府保健局などのWEBサイトは情報が豊富に掲載され、その多くがエビデンスベース(根拠に基づいた情報)ですので、そちらをご覧頂くことをお勧め致します。

 

Centers for Disease Control and Prevention (CDC)

アメリカ疾病予防管理センター

世界中の医療関係者が注目する米国連邦政府機関CDC。新型コロナウイルス情報が豊富です。

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-nCoV/index.html

 

U.S. Food and Drug Administration

アメリカ食品医薬品局

食品や医薬品の審査などを行う米国連邦政府機関。世界の担当官庁なども動向に注目しています。新型コロナウイルスで現在認められている検査法や治療法などが記載されています。

https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/counterterrorism-and-emerging-threats/coronavirus-disease-2019-covid-19

 

Coronavirus disease (COVID-19) advice for the public: Myth busters, World Health Organization, checked on April 20, 2020

https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/advice-for-public/myth-busters

Coronavirus disease 2019 (COVID-19) updates, Youtube, Updated 2 April 2020

https://support.google.com/youtube/answer/9777243?hl=en

 

Q10, PCRだけでなく、今後igg/igmの検査も必要と思いますが、どのように受けられるか?また自分でできるキットもあるか?

A: 以下検査基準、検査を受ける手順、検査の種類、自宅での検査キットについてそれぞれ回答致します。

自宅で行う検査キットについて

現在FDAが認めている自宅での検査キットはありません。

検査方法(検査基準と検査を受ける手順)について

検査は各州や市、郡などの各自治体が主体となって行われているため、地域ごとに検査が受けられる基準が異なります。各地域の検査基準は、検査できる施設の数や体制、感染状況や医療資源の状況に応じて基準を定めておりますが、基本的には①Department of Healthなどの公衆衛生の担当部門に検査の相談を行う、②医師に判断をあおぐ、の二通りの方法があります。

<米国連邦レベルでは>

検査基準について

検査を受けられる基準について、CDCは地域の公衆衛生担当部門と連携して医師が判断するようにと以下のように定めております。各州の保健局はこのCDCのガイドラインを参考に政策を立案しています。

優先順位 1

  • 入院患者、入院する必要のある患者全員に最適な治療の選択肢を確保。院内感染のリスクを軽減し、医療システムを維持
  • 入院患者、入院する必要のある患者
  • 症状のある医療従事者

優先順位 2

  • 感染の合併症のリスクが最も高い人を迅速に特定し、適切にトリアージ
  • 症状のある介護施設の患者
  • 症状のある65歳以上の患者
  • 症状のある基礎疾患(糖尿病や心不全など様々な疾患の原因となっている病気)を持つ患者
  • 症状のあるファーストレスポンダー(最初に対応する人:救急救命士、救助隊、消防、警察など)

優先順位 3

  • エッセンシャルワーカー(生活をする上で必要不可欠な事業に携わる労働者)の健康状態を確認するため、感染拡大を防ぐため、医療資源の許す限り入院患者が急速に増加する周辺地域に住む各個人の検査を行う。
  • 症状のある重要なインフラを支える労働者
  • 上記のカテゴリのいずれかを満たしていない症状を持つ患者
  • 医療従事者とファーストレスポンダー
  • 新型コロナウイルスで多くの入院患者を抱える地域で軽度の症状を持つ患者

非優先順位

  • 症状のない方

<New York Cityでは>

New York Cityは全米でも特に感染が拡大している状況ですので、検査を若干制限しております。

検査基準について

  • 次のいずれかの症状があり、3〜4日で改善しない場合は、医療提供者に連絡する必要があります。
  • 熱、咳、喉の痛み、息切れ、風邪やインフルエンザのような症状
  • 直接診察を受けるのではなく、電話で医療提供者に連絡するようにしてください。
  • 症状が軽い場合は、家にいて状態を監視する必要があります。

連絡先について

①医師に相談し判断を仰ぐ

弊院のような一次診療(プライマリケア)を担う医師などに相談して下さい。直接担当部門に連絡し、検査を受診するにも、外出時や検査施設周辺で感染するリスクや、安易な目的での検査は医療資源による医療崩壊につながるため、慎重な判断が欠かせない状況です。

弊院をはじめ、感染を防ぐためオンライン診察による一時診察も行っておりますのでまずはお気軽にご相談下さい。

②地域の保健局に直接連絡する場合

以下患者様用のホットラインがありますのでこちらで相談ができます。検査施設の多くは予約制ですので事前に必ず電話が必要となります。

New York State ニューヨーク州に在住し、New Rochelleなどにあるドライブスルー式検査センターを希望する場合

COVID-19 hotline 888-364-3065

New York City ニューヨーク市民でニューヨーク市立医療機関で検査を受診したい場合はNYC311まで

市内から:311、市外から:212-NEW-YORK (212-639-9675)

ニューヨーク州ではテストを受けるべきか判断する基準となるOnline Assessmentを用意しておりますので参考にしてください。

検査は主にNYC Health + Hospitalsが各関連医療機関で運営する屋外テント内検査センターで行います。

 

検査方法について

病院や研究室、国内外の試験機器会社が抗体検査キットを作り、独自で検査キットのテストをしているようですが、まだFDAの調査を受け使用許可が下りた抗体検査キットはありません。また、FDAの新型コロナウイルスの診断検査に関するポリシーは、オンライン診察の使用の有無に関わらず、自宅で検体を採取する在宅テストには適用されません。

分子検査

  • PCR検査

患者の呼吸器系に由来するサンプル中のウイルスの遺伝物質を検出する検査です。現状他検査方法と比較して精度が良いと考えられており、多くの公的医療機関などで利用されていますが、New York州の保健局研究所で現在行われているPCR検査のFDA提出ファクトシートにも記載の通り、偽陽性や偽陰性となることがあります。考えられる原因は使用する試薬や検体の採取方法です。検体は一般的に直接の鼻腔、鼻咽頭または喉などを綿棒で採取しますが、場合によっては痰のような下気道の検体採取も行います。また、遺伝子を増幅させる必要があるため、通常数時間から数十時間検査結果を取得するまでに時間がかかります。

  • 臨床現場即時検査(Point of care testing, POCT)

臨床現場即時検査(Point of care testing, POCT)検査機器を用いる、新型コロの遺伝子を標的とした分子検査。検体が陽性であれば約5分で、陰性であれば13分で判定が得られます。PCR同様、直接の鼻腔、鼻咽頭または喉などを綿棒で採取します。トランプ大統領が会見で公開した、短時間で検査が可能な機器はAbbott社が開発した臨床現場即時検査機器、ID NOWです。

ただし、FDAに掲載されているPOCT機器Abbott社のID NOWファクトシートには、この診断結果を唯一の診断材料とせず、陰性が必ずしも感染可能性を否定しないよう記載があります。主な理由はまだ十分な臨床結果が得られていないことです。また、WHOはこの新しい臨床現場即時検査を十分な証拠が揃うまで、研究環境でのみ使用することを推奨しています。

抗体検査

血清検査または抗体検査と呼ばれる別の種類の検査は血液中に存在する抗体の量を測定します。ストがウイルス自体を検出するのではなく、ウイルスによって引き起こされる感染に対する体の免疫反応を検出することを意味します。しかし感染初期では抗体ができていないことがあるため、抗体検査を唯一の診断方法として使用することはできません。

またFDAのポリシーでは、抗体検査について以下のような注意喚起をするよう通知しています(以下概略)。

  • 特にウイルスに接触したことがある患者について、陰性の結果はSARS-CoV-2感染を除外しない。
  • 抗体検査の結果を感染の有無を把握するための唯一の判断材料としない。
  • 陽性結果は、新型コロナウイルスではなく、別のコロナウイルスの感染が原因である可能性もある。
  • 献血前に行う検査としては利用できない。

IgM抗体

ウイルスに感染した場合まず最初に生成される抗体です。IgM抗体があるという意味は、ウイルスがまだ活動している、又は最近感染したことを示します。ただし、これが陰性でもIgM抗体ができるまで時間がかかるため、感染した可能性を否定できません。

IgG抗体

体はウイルスの感染に対応して2番目の抗体を生成します。それがIgG抗体と呼ばれる抗体です。IgG抗体は一般に感染後数週間まで発症しないため、この抗体がなくても感染した可能性を否定できません。

現在FDAは公衆衛生上の危機を理由に約40の検査キットに対して緊急使用許可を出しています。ただし緊急使用許可はFDAが実際に検査を行い認定したものではない点ご注意下さい。一覧はこちらをご覧下さい。

 

参考文献

Emergency Use Authorization, FDA, checked on April 20, 2020

https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/mcm-legal-regulatory-and-policy-framework/emergency-use-authorization

FAQs on Diagnostic Testing for SARS-CoV-2, checked on April 20, 2020

https://www.fda.gov/medical-devices/emergency-situations-medical-devices/faqs-diagnostic-testing-sars-cov-2

Factsheet: New York SARS-CoV-2 Real-time Reverse Transcriptase (RT)-PCR Diagnostic Panel (Wadsworth Center, NYSDOH), Updated: March 15, 2020

https://www.fda.gov/media/135662/download

The Science Behind the Test for the COVID-19 Virus,  Mayo Foundation for Medical Education and Research(MFMER), March 27, 2020

https://discoverysedge.mayo.edu/2020/03/27/the-science-behind-the-test-for-the-covid-19-virus/

ID NOW™ COVID-19 MOLECULAR. IN MINUTES. ON THE FRONT LINE, Abbott, checked April 20

https://www.alere.com/en/home/product-details/id-now-covid-19.html

 

Q11, 日本における死亡者が奇跡とも言えるほど低いのですが、その理由は? 一説にはBCGを打っているとあり、オーストラリアやオランダで治験が始まっていますが、アメリカでは何か話はありますか?

A: 日本のCOVID-19死亡者が低い理由はまだはっきりとしたことがわかっていません。BCGワクチンのCOVID-19を目的とした接種は現在推奨されていないものの、研究が豪州、オーストラリア、米国で始まっています。

各国のBCGワクチン接種政策を、COVID-19の罹患率と死亡率で比較した査読前論文(論文の内容が第三者によって確認されておらず、臨床判断の材料として利用するべきではないもの)BCGワクチン接種の普遍的な政策がない国(イタリア、オランダ、米国)は、普遍的かつ長期にわたるBCG政策を持つ国と比較して、COVID-19の深刻な影響を受けていることがわかった。普遍的なBCG政策の開始が遅い国(イラン、1984年)は死亡率が高く、BCGが予防接種を受けた高齢者を保護するという考えに一致。また、BCGワクチン接種により、COVID-19の症例数も減少したこともわかりました。

参考グラフ:普遍的なBCG予防接種を実施していない国とCOVID-19の死亡率

Higher death rates were presented in countries that never implemented a universal BCG vaccination policy, from Correlation between universal BCG vaccination policy and reduced morbidity and mortality for COVID-19, Department of Biomedical Sciences, NYIT College of Osteopathic Medicine, New York Institute of Technology, Old Westbury, New York, USA, March 28, 2020.

副作用によるリスク

4月7日に新型コロナウィルス予防へのBCG有効性を期待した誤った接種を受けて方が、蕁麻疹等の副作用で救急外来を受診したケースがありました

各主要機関の見解

日本ワクチン学会

4月3日に「新型コロナウイルスによる感染症に対してBCGワクチンが有効ではないか」という仮説は、いまだその真偽が科学的に確認されたものではなく、現時点では否定も肯定も、もちろん推奨もされない」と発表しています。

WHO

BCGワクチンとCOVID-19ウイルスの感染から人々を保護するという明確な証拠は現在ない。BCGワクチン接種は子供の結核の重症化を防ぐ。物資の転用は新生児にワクチン接種されず、結核による疾患と死亡の増加をもたらす可能性があるため、WHO証拠がないためCOVID-19の予防のために推奨しない。

現在行われている研究

現在、オーストラリアとオランダ、米国で、新型コロナウイルスの感染リスクが最も高い医療現場で勤務する医療従事者を被験者として、COVID-19の欠勤者を減らすためBCG予防接種を行う研究を開始しています。

  • オランダの研究:対象:医療従事者1500名、開始:2020年3月25日、結果予定日:2020年12月25日
  • オーストラリアの研究:対象:医療従事者4170名、開始:2020年3月30日、一次結果予定日:2020年10月30日、最終結果予定日:2022年3月30日
  • 米国(ボストン)の研究:ハーバード大学医学部の教育病院であるマサチューセッツ総合病院の免疫生物学研究所 FAUSTMAN LABで実施。早急に実証できるよう2か月間で4000名の感染リスクが高い医療従事者を対象に研究を行う。当LABのBCGとCOVID-19の見解についてはこちらを参照。

 

参考文献・引用

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBCG ワクチンの効果に関する見解【2020.4.3 Ver.2】, 日本ワクチン学会, 2020年4月3日 http://www.jsvac.jp/pdfs/kenkai.pdf

COVID-19予防のための注射で副反応 BCGワクチンの誤接種で救急受診も, 日経メディカル, 山崎大作, 2020/04/14, https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/report/t344/202004/565146.html

Bacille Calmette-Guérin (BCG) vaccination and COVID-19, World Health Organization, 12 April, 2020, https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/bacille-calmette-gu%C3%A9rin-(bcg)-vaccination-and-covid-19

Reducing Health Care Workers Absenteeism in Covid-19 Pandemic Through BCG Vaccine (BCG-CORONA), Murdoch Childrens Research Institute, article from  NIH ClinicalTrials.gov https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04327206

BCG Vaccination to Protect Healthcare Workers Against COVID-19 (BRACE), MJM Bonten, UMC Utrecht, article from  NIH ClinicalTrials.gov https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04327206

The BCG Vaccine & COVID-19,  THE FAUSTMAN LAB AT MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL (MGH)

https://www.faustmanlab.org/wp-content/uploads/2020/04/BCG2-pagerC-19.pdf

Correlation between universal BCG vaccination policy and reduced morbidity and

mortality for COVID-19: an epidemiological study, Aaron Miller, Mac Josh Reandelar, Kimberly Fasciglione, Violeta Roumenova, Yan Li, and Gonzalo H. Otazu*

Department of Biomedical Sciences, NYIT College of Osteopathic Medicine, New York Institute

of Technology, Old Westbury, New York, USA

https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.24.20042937v1.full.pdf

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